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局所超銀河団

 

よみ方

きょくしょちょうぎんがだん

英 語

Local Supercluster

説 明

天の川銀河銀河系)の属する超銀河団。1950年代にドゥ・ボークルールによってその存在が指摘されたが、実際に存在するかどうかについては議論が続いた。明るい銀河の赤方偏移サーベイが進んでその存在が実証された。
半径20メガパーセク(20 Mpc=6500万光年)程度の不規則で扁平な形状をしており、銀河系はその端近くに位置する。超銀河団としてはやや小さい。中心付近には、局所超銀河団で最も顕著な銀河集団であるおとめ座銀河団がある。局所超銀河団は、宇宙の大規模構造を形作るフィラメントの一部でもある。他の超銀河団と同様、局所超銀河団も重力的に束縛された系ではなく、宇宙膨張とともに広がっている。たとえば、銀河系はおとめ座銀河団の方向に重力を受けて特異運動をしている(おとめ座銀河団への落ち込み運動)が、宇宙膨張の効果が勝るため、両者の距離は増大している。局所超銀河団内の構造などの研究では、銀河の位置を記述するためにドゥ・ボークルールによって提案された超銀河座標系という座標系が広く使われている。
近年の研究によって、局所超銀河団は、その約100倍も大きなラニアケア超銀河団の中に含まれていることが明らかになった。


太陽系から銀河系を飛び出して局所超銀河団の中心にあるおとめ座銀河団まで行く仮想宇宙旅行の動画。おとめ座銀河団の中心にある巨大楕円銀河M87に到達して終了する。(原作は、カリフォルニア大学サンディエゴ校マイケル・ノーマン(Michael Norman)教授による)

https://youtu.be/AXHPeX8hz8s

2020年03月19日更新

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    *超銀河座標で表した局所超銀河団の銀河の分布。一つの点は一つの銀河を表す。銀河系は原点にある。円の半径は約40 Mpc(1億3000万光年)。左上の図でSGZ~0、SGY~18 Mpcにある集団がおとめ座銀河団。左の二つの図で銀河のほとんどない扇形の部分は天の川銀河の不透視帯のため銀河の観測ができていないところ。
    岡村定矩「銀河系と銀河宇宙」(東京大学出版会)。
    (Tully 1982, ApJ, 257, 389の原図を元に作成)
    * 知られている主な超銀河団の分布図。黄色の部分がラニアケア超銀河団。(Credit: Richard Powell)
    licenced under a Creative Commons Attribution-ShareAlike 2.5 Licence
    http://www.atlasoftheuniverse.com/superc.html