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宇宙の大規模構造

 

よみ方

英 語

説 明

宇宙空間における銀河の分布には特徴的な疎密が見られる。大部分の銀河は、銀河団及び銀河団をつなぐフィラメント状構造に属しており、このフィラメントに囲まれるようにしてボイドと呼ばれる低密度の領域が存在する。銀河団とそれらをつなぐフィラメント状構造およびボイドが織りなす構造のことを宇宙の大規模構造という。
宇宙の大規模構造は、せっけんの泡がくっつきあっている様子に似ていることから泡構造とも呼ばれる。一つの泡(ボイド)の大きさは数10メガパーセク(数10 Mpc=1億光年)にも及ぶ。フィラメントでつながれた銀河群銀河団などは更に大きな超銀河団を構成する。
大規模構造は、宇宙の誕生時に存在した微小な量子ゆらぎが、インフレーションによって空間的に何十桁も拡大し、その後の時間経過と共に大規模構造に成長していったと考えられている。なおインフレーション後にあった物質分布の揺らぎのみでは大規模構造はできず、冷たいダークマターの存在が大規模構造形成に大きな働きをした。局所超銀河団ラニアケア超銀河団インフレーション理論2MASSも参照。

2019年10月01日更新

関連画像

2ミクロン全天サーベイ(2MASS)で得られた150万個以上の銀河と約5億個の恒星の天球上の分布を示した図(銀河座標系)。恒星は図の中心を通る水平な横から見たレンズの形をしているが、これは銀河系を真横から見た姿である。主な銀河団の名称と距離あるいは赤方偏移z(括弧内に示された数値)が示されている。銀河は赤方偏移に従って色づけされている。青/紫色は近傍(z < 0.01)、緑色は中間的な距離(0.01 < z < 0.04)、赤色は2MASSの観測限界に近い遠方 (0.04 < z < 0.1)の銀河である。天球上の分布であるが色分けによって宇宙の大規模構造が垣間見える。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:2MASS_LSS_chart-NEW_Nasa.jpg
元の出典は
"Large Scale Structure in the Local Universe: The 2MASS Galaxy Catalog", Jarrett, T.H. 2004, Publ. Astron. Soc. Australia, 21, 396
宇宙大規模構造の存在をはじめて示唆した図。かみのけ座銀河団とA1367銀河団を含む領域にある15等級より明るい銀河ほぼすべて238個の赤方偏移から奥行き方向の距離を求め空間分布として示した図。銀河系は三角形の頂点にある。右図の線で示されているように、二つの銀河団を結ぶ架け橋(フィラメント)のような構造や、銀河のほとんどない領域があることがわかった。
原図は Gregory & Thompson 1978, ApJ, 222, 784