トロヤ群小惑星
よみ方
とろやぐんしょうわくせい
英 語
Trojan asteroids
説 明
惑星の軌道面上で、太陽と惑星を結ぶ線分を底辺とする正三角形の頂点の位置に相当する2つの点は力学的に安定な平衡点(ラグランジュ点)である。惑星の軌道運動方向の前方、後方にある平衡点を、それぞれ L4 平衡点、L5 平衡点と呼ぶ。木星の場合、これらの平衡点付近には小惑星が濃集しており、通常これらをトロヤ群小惑星と呼ぶ。2019年5月時点で、木星のトロヤ群小惑星は7000個以上が見つかっている。
トロヤ群小惑星の起源として、形成後の木星と土星の軌道が軌道共鳴を経験して天王星と海王星の軌道を大きく乱したとする、ニースモデルに基づくものが有力である。このモデルでは、現在よりも太陽に近い軌道上にあった海王星は、外側に残る氷微惑星円盤中に跳ね飛ばされる。その結果、大きく軌道を乱された氷微惑星が木星軌道付近にも流れ込む。木星と土星が共鳴状態にあるとき、木星の L4, L5 平衡点は一時的に不安定となり小惑星はこれら平衡点から出入りするが、その後、木星の軌道が土星との共鳴状態からはずれて落ち着きこれら平衡点が再び安定になると、そのときに平衡点付近にあった微惑星が平衡点付近に捕獲され、現在のトロヤ群小惑星となる。このモデルによると、現在のトロヤ群小惑星の軌道の特徴がうまく説明できる。
この他、太陽と他の惑星に対して正三角形の位置にある天体のこともトロヤ群小惑星と呼ぶことがあり、火星には9個、天王星には1個、海王星には23個のトロヤ群小惑星が見つかっている(2019年5月現在)。また小惑星ではないが、土星には、土星と衛星を結ぶ線分を底辺とする正三角形の位置に存在する小衛星が見つかっている。
2023年05月12日更新
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