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微惑星

高

よみ方

びわくせい

英 語

planetesimal

説 明

惑星を形成する材料となった、直径1-10 kmの天体のこと。太陽系形成論の標準シナリオでは、原始太陽系星雲中にただようダストが太陽重力の鉛直成分に引かれて太陽の周りを公転しながら徐々に星雲の赤道面に沈殿して薄いダスト層を形成し、ダスト層の密度が十分高くなると重力不安定を起こして分裂し、微惑星が形成される。微惑星が相互重力による衝突合体を繰り返して惑星が形成されたと考えられる。しかし、原始太陽系星雲中に何らかの原因で乱流があるなどしてダストの沈殿が妨げられると、重力不安定が起きるほど高密度のダスト層が形成されない。このため微惑星はダスト層の重力不安定を経ず、ダスト同士の直接衝突合体を繰り返して形成されたという考えもある。このように微惑星の形成過程は、まだわからないことが多い。

2018年10月02日更新

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    * 太陽系形成の標準シナリオ
    渡邊誠一郎「太陽系形成論の概観」、シリーズ現代の天文学第9巻、渡部・井田・佐々木編『太陽系と惑星』 6.1節 図6.1 (日本評論社)