摂動
よみ方
せつどう
英 語
perturbation
説 明
もともとは天体力学の用語であるが、それ以外の分野でも、平衡(安定)な状態に対するわずかな乱れを指す語として用いられる。
たとえば天体力学で惑星の運動を考える場合、太陽のほかに他の惑星や小惑星などの影響も考えねばならないが、それらの影響は太陽に比べるとはるかに小さい。したがって、まずは太陽の重力による運動を考える。それからのずれを摂動と呼ぶが、それを扱うために、太陽の重力に小さな補正量(摂動力)を運動方程式に摂動項として加えて計算を行う。この手法を摂動論と呼ぶ。
摂動のうち、時間に比例して変化するように見える成分を永年摂動と呼ぶ。実際には、非常に長い周期成分の一部を見ているような場合もある。永年摂動によって起こる共鳴関係は永年共鳴と呼ばれる。永年摂動に対して、周期的に変動する成分のことを周期摂動と呼ぶ。太陽系天体の運動においては、一般的には周期摂動よりも永年摂動による変化の方が大きくなる。
摂動問題を考えるためには、摂動項を必要に応じて展開し解析的に解く方法と、コンピュータにより数値的に解く方法の2通りがある。前者は各成分の意味を理解しやすいメリットがあるが、精度を上げるにつれ項数が急激に増加し極めて複雑になる。このため、近年ではコンピュータによる手法が主流となっており、計算誤差を抑制しつつ、高速に計算する手法の研究が今も続けられている。
2019年02月23日更新
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