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マイケルソン

 

よみ方

まいけるそん

英 語

Michelson, Albert Abraham

説 明

マイケルソン(Albert Michelson;1852-1931)はアメリカの物理学者。ポーランド(当時はプロイセン王国)のストシェルノに生まれ、2歳のときに両親とともに渡米、1873年にアナポリスのアメリカ海軍兵学校を卒業した。1875年から母校の教師を務め、1879年に海軍天文台員となりヨーロッパへ留学。1882年ケース工科大学(ここでモーリー(E.W. Morley)と出会う)、1889年クラーク大学を経て、1893年から1929年までシカゴ大学物理学教授を務めた。1920年からはウィルソン山天文台とカリフォルニア工科大学で研究を続けた。
光速度の測定を、海軍兵学校の教師時代の回転鏡使用の実験から、ウィルソン山天文台での基線5マイルの実験まで行い、より正確な値を得ようとした。1883年に 299,853±60 km/s、1926年には299,796±4 km/sの値を発表している。
ケース工科大学にいた当時は、光を伝搬させる媒質としてエーテルが想定されていた。モーリーと共同で干渉計を使い、地球の運動方向とそれに直交する方向とで光速度を高精度に測定し、差がないことを証明した(1887年、マイケルソン-モーリーの実験)。その結果、エーテルは存在しないこと、および、特殊相対性理論の基礎になったローレンツ変換が提案された。
1920年には、ピース(F.G. Pease)とともに、ウィルソン山天文台100インチ反射望遠鏡で2枚の鏡を用いてオリオン座のべテルギウスの光を干渉させ、その直径を測っている。「干渉計の考案とそれによる分光学およびメートル原器の研究」により1907年、アメリカ人初のノーベル物理学賞を受賞した。

2024年11月23日更新

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