シュバルツシルト半径
よみ方
しゅばるつしるとはんけい
英 語
Schwarzschild radius
説 明
シュバルツシルト(K. Schwarzschild)はアインシュタイン方程式を、中心にのみ質点があり、その周囲の空間は等方的という条件で解いた。それがシュバルツシルト解(1916)である。それによると位置 r に置いた時計の刻む時間の間隔 $\tau$ と、無限遠方の観測者が計る時間の間隔 dt の間には、
$d \tau=\left( 1-\frac{R_{\rm S}}{r} \right)^{1/2} dt$ という関係が成り立つ。この式で RS をシュバルツシルト半径という。
シュバルツシルト半径に近づくと、時間経過が遅くなるように見え、速度はいつまでも光速度を超えない。さらにr < RS では、上式の比例係数は虚数となり物理的な意味を失う。この領域では、いかなる光線も RS より外側には出られず、外側からは永久に知ることのできない領域となる。そこでシュバルツシルト半径を事象の地平線と呼ぶ。事象の地平線と中心の質点を併せた概念がブラックホールである。中心の質点の質量がMのとき RS = 2GM/c2 となる。ここで G は万有引力定数、c は真空中の光速度である。
2019年4月10日にイベントホライズンテレスコープが、おとめ座銀河団にある巨大楕円銀河M87の中心にあるブラックホールのシャドウを観測したと発表した。ブラックホールシャドウの視直径はシュバルツシルト半径の5倍程度と考えられている。
2023年05月18日更新
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