クリーン
よみ方
くりーん
英 語
CLEAN
説 明
開口合成型の電波干渉計で、uv面上の観測していないビジビリティを推定するための方法の1つ。これによって、ダーティーマップから真の天体画像になるべく近い画像としてクリーンマップを得る。CLEANによる推定では、天体の輝度分布をできるだけ少数の点源の集合だと仮定している。ただし、実際の観測データには測定雑音が含まれるため、単純な当てはめでは正しい答えが得られない場合がほとんどである。このため、以下に述べる逐次演算によって推定を実現する。CLEANのアルゴリズムでは、ダーティーマップ中から強度の絶対値のピークを見つけ、その位置と振幅値をクリーン成分として記録するとともに、クリーン成分に対応する点像分布関数をダーティーマップから引き去り、残差マップを作成する。以降、この残差マップ中に対して強度の絶対値のピークを見つけ、新たなクリーン成分として記録し、点像分布関数成分を引き去る操作を繰り返す。この際に、収束を確実にするために、ダーティーマップからの引き去りに際しては、見つけた最大値よりも一定の割合だけ小さな値を用いることが要点である。この一定割合の値をゲイン値と呼ぶ。こうして、残差マップのピーク値が予想される雑音に基づいてあらかじめ指定された値よりも小さくなるか、見つけたクリーン成分の個数が指定した数に達した場合に繰り返しを終了する。最後に、得られたクリーン成分に実際にビジビリティを測定しているuv面上のデータ分布から得られる点像分布関数のピーク周辺をガウス分布(正規分布)で近似したビームでたたみ込んだ画像を作り、それに最終的な残差マップを足したマップを結果とする。ただし、uv面上でのビジビリティ分布が極めて限られていたり偏っている場合には、真の天体画像とは程遠いクリーンマップに収束することもよくあるため、クリーン成分が存在する画像範囲を指定することもある。この操作を「ボックスをかける」という。
CLEANは直観的に理解しやすいアルゴリズムであり、必要な計算機資源も節約できるが、点源の集合体として輝度分布を再現しようとする手法であることから、広がった輝度分布の再現には弱い面があると考えられている。測定していないビジビリティを推定する方法としては、他に、最大エントロピー法もよく使われる。
2018年09月03日更新
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