UKシュミット望遠鏡(UKST)
よみ方
ゆーけーしゅみっとぼうえんきょう(あくすと)
英 語
UK Schmidt Telescope
説 明
オーストラリアのニューサウスウェールズ州サイディングスプリング天文台にある、補正板口径1.24 m、視野6.6度四方を有するシュミット望遠鏡。光学設計はパロマーシュミット望遠鏡を踏襲しており、両望遠鏡はいわば双子の関係にある。イギリスのエジンバラ王立天文台(ROE)が1973年に建設し、1988年まで運用も行った。1988年以降は、アングロオーストラリア天文台の施設として運用されていた。アングロオーストラリア天文台はイギリスが撤退したため2010年に廃止となった。現在UKシュミット望遠鏡はオーストラリア国立大学が所有し、オーストラリア天文台によって運用されている。
UKシュミット望遠鏡で撮影された写真乾板はすべてROEで保管管理されている。パロマー天文台のシュミット望遠鏡と同じイメージスケールで同じ大きさの写真乾板である。1980年代までに、パロマー天文台スカイサーベイでカバーできなかった南天の全天写真サーベイを行ったほか、パロマーシュミット望遠鏡による第2次全天サーベイにも協力した。最後の写真サーベイである天の川とマゼラン雲のH𝛂輝線サーベイは2005年に完成した。
2001-13年には、光ファイバーによる150チャンネル多天体分光装置6dFを用いて12万個の銀河のスペクトルを撮影する「6dF銀河赤方偏移サーベイ」が行われた。それに続いて、6dFを使って天の川銀河(銀河系)の100万個の星のスペクトルを撮影する国際共同プロジェクトRAVE(Radial Velocity Experiment)が行われた。
2014年から2016年にかけてUKシュミット望遠鏡は遠隔観測ができるように改造され、6dFの後継機として2018年に、150チャネルの新しい多天体分光器TAIPANが完成した。TAIPANは150本の光ファイバーを焦点面上で目的天体の位置に完全自動で配置できる。6dF ではこの配置に1時間を要したが、TAIPANではそれが2-3分で可能となった。「タイパン」はオーストラリアに生息するコブラ科の毒蛇。焦点面に置かれたガラス板上でStarbugと呼ばれる技術で光ファイバーがうねるように目標天体の位置に移動する様子がタイパンの動きに似ていることからこの名前がついた。
2019年現在、TAIPANを用いて10万個の銀河の視線速度を測定するプロジェクトと300万個の星のスペクトルを撮影するプロジェクトが行われている。
ホームページ:https://aat.anu.edu.au/about-us/uk-schmidt-telescope
TAIPAN:
https://aat.anu.edu.au/news-media/media-releases/TAIPAN-australian-robotic-eyes-to-observe-the-heavens
2022年01月31日更新
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