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逆行惑星

 

よみ方

ぎゃこうわくせい

英 語

retrograde exoplanet

説 明

太陽系惑星は、その自転軸と公転軸がなす角度は約10 度以内で一致する。また、標準的な惑星形成モデルによれば、恒星の自転軸と惑星の公転軸は一致し、かつ、同じ向きを持つと考えられる。この角度を天球上に射影した角度は、ロシター-マクローリン効果によって測定できる。トランジット時(トランジット法を参照)には惑星が恒星の一部を隠すため、その部分の恒星の自転の効果がスペクトルに現れるからである。最初にロシターーマクローリン効果が観測されたHD209458の観測では、その惑星は順行していることが示された。しかし、HAT-P-7b については、2009年の成田憲保ほか、Joshua Winnほかによる独立な観測で、この角度が約180度、すなわち公転面が自転軸にほぼ垂直で、自転と逆向きに公転している(逆行している)太陽系外惑星であることが発見された。また、順行でも逆行でもない傾いた軌道を持つ惑星も多数発見されている。逆行惑星や傾いた惑星は、複数の惑星系同士の相互作用などによる軌道変化で形成されたと考えられている。

2022年01月23日更新

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    すばる望遠鏡HDSで観測されたHAT-P-7のロシター-マクローリン効果。観測された主星の速度から惑星の公転による速度(ケプラー運動)を除いたロシター-マクローリン効果の成分のみがプロットされている。この図から、トランジットが始まった直後は、惑星は主星の自転の遠ざかる側を隠し、その後主星の近づく側を隠していることがわかる。下の図は、モデルの実線のシグナルを除いた誤差を表す。
    https://subarutelescope.org/old/Pressrelease/2009/11/04/j_index.html