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振動子強度

 

よみ方

しんどうしきょうど

英 語

oscillator strength

説 明

光の吸収や放出にかかわるエネルギー準位間の遷移確率を表すのに用いられる補正係数。古典的な電子論で仮定されている物質中の電子の振動子模型では、あるスペクトル線に関する光の吸収断面積はcgsガウス単位系で π×e2/mc となる(em は電子の電荷と質量、c は光速)が、量子力学にもとづく計算あるいは実験から得られる遷移確率は、これに対する補正係数 f を導入して表記する。この f のことを振動子強度という。アインシュタインの遷移確率との関係は

f=(mc/4π2e2)hνluBlu

となる。ここで hプランク定数ν は振動数、Blu は下の準位 l から上の準位 u への遷移についてのアインシュタイン係数のうちの B 係数である。これに遷移前の準位の統計的重みを掛けた値はgf値とも呼ばれ、多数のスペクトル線についての測定あるいは計算データが報告されている。

2023年05月14日更新

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