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バンドヘッド

 

よみ方

ばんどへっど

英 語

bandhead

説 明

バンドスペクトルのうち、バンドを構成するスペクトル線が特定 の波長を境に短波長側もしくは長波長側にだけ分布するスペクトルがある。 これはバンドを構成するスペクトル線の回転準位による波長ずれが特定の波長で折り返すことによる。折り返し波長ではスペクトル線の波長当たりの数密度が高くなる。したがって、低波長分解能分光においては折り返し波長に向かって吸収線の谷の最深部、もしくは、輝線のピークになる。この波長を越えるとスペクトル線がなくなるので、 直角三角形に近い特徴的なプロファイルとなる(図参照)。 この折り返し部分をバンドヘッドと呼ぶ。

2018年09月06日更新

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    *12CO分子のΔv=2 の振動回転スペクトル線の波長分布。R分枝のスペクトル線群が波長=2.3μmあたりでバンドヘッドを形成している。
    山下卓也「天体からの光・赤外放射」、シリーズ現代の天文学 第15巻、家・岩室・舞原・水本・吉田編『宇宙の観測I』第2版 2章 図2.5(日本評論社)
    *晩期型星のKバンド(波長 2.0-2.4μm)のスペクトル。波長2.3μm(波数=4350 cm^{-1})から長波長(左方向)に向かって,12CO分子と,13CO分子の Δv=2 振動回転スペクトルのバンドヘッドが見られる。
    (S.G.Kleinman & D.N.B. Hall(1986)ApJS 86, 501-517 のFig 1.d を改変)