トラペジウム
よみ方
とらぺじうむ
英 語
trapezium system
説 明
オリオン大星雲(M42)に含まれる星の集まりの一つ。中心にある4つのO型星の並びが四辺形(トラペゾイド状)であることからその名がある。オリオン大星雲自体、巨大な電離水素領域(HII領域)であるが、トラペジウムはその中でも若く明るい星の集まりで、盛んに星が生成されている領域である。主としてC星(スペクトル型O6)とD星(O9型)がオリオン大星雲を励起させている。最近の観測で、質量が小さく核反応にいたらない褐色矮星が大量に存在することが示唆されている。誕生後時間がそれほど経っていないために、褐色矮星が十分に冷え切っておらず、赤外線で比較的容易に観測されたものと考えられる。
このように、OB型星が同程度の間隔で構成する多重星は、他の電離水素領域でもしばしば見られ、オリオン大星雲のものに限らずトラペジウム(トラペジウム・システム)と言われることもある。
トラペジウムの近傍には、可視光でもきわめて興味深い天体がハッブル宇宙望遠鏡などで発見されている。1〜2秒角程度以下のきわめて小さな光斑で、多くはおたまじゃくし状の尾を伸ばしている。頭部に恒星が隠れており、そのまわりにガスと固体微粒子の円盤が形成され、惑星系を生む母胎となると考えられている。プロプリッド(proplyd)とも呼ばれ、尾がすべてθ1C星から反対側に放射状に伸びているのは、この星からの強力な恒星風または放射圧が原因である。
2020年12月10日更新
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