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スニヤエフ-ゼルドビッチ効果

 

よみ方

すにやえふぜるどびっちこうか

英 語

Sunyaev-Zel'dovich effect

説 明

宇宙マイクロ波背景放射(CMB)からの光が、銀河団プラズマ中にある大量の高温電子の中を通るときに、逆コンプトン散乱を受けその黒体放射スペクトルに歪みが生じる効果を指す。略してSZ効果とも呼ばれる。このとき、エネルギーの低い、つまり振動数の小さい(波長の長い)光子は電子からエネルギーを得る結果、長波長側から短波長側へ光子が移送されてCMBのスペクトルが歪む。このため、周波数 200 GHz(波長約1.5 cm)程度を境として、周波数の低い/高い側で観測するとCMBの温度が実際より低く/高く観測される。
天球上で見ると、銀河団の中心で電波強度が、低周波数域では弱く高周波数域では強くなったように見える。この熱的SZ効果の他に、銀河団がCMBに対して運動するためにドップラー効果で生じる運動学的SZ効果があるが、それは二次的なもので大きさはずっと小さい。

 

2019年12月11日更新

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    * スニヤエフ-ゼルドビッチ効果(SZ 効果)の概念図。銀河団中の高温プラズマを通過した宇宙マイクロ波背景放射には、SZ効果による強度変化が加わる。
    原図出典: https://astro.uni-bonn.de/~bertoldi/projects/sz/ringberg/img1.html

    * スニヤエフ-ゼルドビッチ効果によるCMBスペクトルの歪みの模式図1。わかりやすいように典型的な銀河団の1000倍の質量を持つ銀河団を仮定したもの。
    原図出典: https://ned.ipac.caltech.edu/level5/Sept05/Carlstrom/Carlstrom2.html
    スニヤエフ-ゼルドビッチ効果によるCMBスペクトルの歪みの模式図2。左は元のCMBとの強度差、右は温度差を周波数の関数として示したもの。左図の実線は熱的SZ効果、破線は動学的SZ効果、点線は元のCMBスペクトルを0.0005倍したもの。仮定した銀河団のプラズマの電子温度は10 keV、コンプトンyパラメータはy=10^{-4}、特異速度は500 km/s である。
    原図出典: https://ned.ipac.caltech.edu/level5/Sept05/Carlstrom/Carlstrom2.html
    銀河団 RX J1347−1145 を中心とする天域の350 GHz(上)と150 GHz(下)の電波強度分布。銀河団の中心にある楕円銀河(+印)に向かって上図では強度が増加し、下図では強度が減少していることが分かる。等高線は、銀河団中の高温プラズマが発するX線(0.5–7.0 keV)の強度分布を示す。
    出典: Kitayama, T. et al., 2004, Publ. Astron.Soc. Japan, 56, 17.

    アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で観測した銀河団RX J1347.5-1145。青色はアルマ望遠鏡によるスニヤエフ-ゼルドビッチ効果の分布。銀河団の中心に近いほどスニヤエフ-ゼルドビッチ効果が大きく、電波が弱くなっていることがわかる。
    出典: https://alma-telescope.jp/news/mt-post_700
    Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Kitayama et al., NASA/ESA Hubble Space Telescope