せいめい望遠鏡
よみ方
せいめいぼうえんきょう
英 語
Seimei Telescope
説 明
京都大学が、名古屋大学、国立天文台、ナノオプトニクス研究所と協力し、京都大学岡山天文台として、旧国立天文台岡山天体物理観測所に隣接する敷地に建設した口径3.8 mの光学赤外線望遠鏡。名前は全国の一般応募の中から選ばれた。平安時代の陰陽師安倍晴明が設置場所近くの阿部山で天文観測を行ったとされること、および主たる科学目標の一つである太陽系外惑星探査が地球外生命の発見の手がかりになるのを期していることに由来する。主鏡は国内初の分割鏡であり、国内の望遠鏡としては最大口径である。2019年2月の初観測以来、リスクシェアモードで国内共同利用を行っている。
せいめい望遠鏡は、多数の新しい技術を開発したユニークな望遠鏡である。主鏡を構成する18枚のセグメント鏡は大きさ約1 mである。Keck 望遠鏡など多くのセグメント鏡に採用されている6角形とは異なり扇形にすることで、鏡の形状を2種類に減らす工夫が施された。主鏡の口径比をF/1.3と明るくすることにより鏡筒を短くし、セグメント鏡の厚みも約60 mmと薄くして軽量化した。経緯台方式ではあるが、センターセクションで主鏡セルを支えるのではなく、主鏡セルの下側にトラス構造を組み、それを2本のアークレールで支え、全体を方位テーブルの上に置く構造となっている。このようなさまざまな軽量化技術により、1.4トンの光学系を含む支持構造は8トンで、可動部分全体の重量は18トンに抑えられた(ちなみに口径が2.2倍のすばる望遠鏡の可動部分の重量は555トンである)。
せいめい望遠鏡は2021年初現在、「光子バケツ」としての性能しか発揮できていないが、主鏡面全体からの反射光の位相合わせを実現して、口径を活かした高解像度観測の実現に向けた努力がなされている。主な研究目標として以下のものが掲げられている。
・ガンマ線バースト、重力波源など高エネルギー爆発現象
・太陽と似た星のスーパーフレアのメカニズム
・ドップラー法による太陽系外惑星の探査と極限補償光学による直接撮像
・銀河と星惑星系の形成
京都大学岡山天文台
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/general/facilities/okayama/
京都大学3.8 m望遠鏡
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/psmt/
2021年03月30日更新
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