天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3000語以上収録。専門家がわかりやすく解説します。

New

南中

小

よみ方

なんちゅう

英 語

meridian transit

説 明

日周運動によって、東から上って南の空を通過して西に沈む天体が、真南の方角を通過すること。正確に言えば、天体が天頂(地平座標系を参照)より南側で子午線を通過すること。南中時の高度を南中高度という。太陽が南中する時刻がその地点の正午である。
地球の自転軸(地軸)は公転面に垂直な方向から約23.4°傾いているので、太陽の南中高度は季節によって変化する。北半球の北緯φ°の地点の南中高度は、春分秋分では(90-φ)°、夏至では(90-φ+23.4)°、冬至では(90-φ-23.4)°である。東京付近(φ=35)での南中高度は、冬至で約32°、春分で約55°、夏至で約78°、秋分で約55°と変化する。この、季節による太陽の南中高度の変化が季節の変化の最も大きな原因である(二至二分も参照)。
天体が子午線を通過することは、天頂より北側か南側かを問わず一般に「子午線通過(meridian transit)」と呼ばれる。周極星の場合は、上側と下側でそれぞれ「上方子午線通過」および「下方子午線通過」と呼ばれる。天頂より南側での子午線通過に「南中」という特別な語を用いる国は日本以外ではあまりないようである。

「地軸の傾きと南中高度の違い」を説明するムービー(製作「CGムービー人理科」)
https://youtu.be/jOveW6_kAI4

2020年11月16日更新

問い合わせ
問い合わせ

この用語の改善に向けてご意見をお寄せください。

受信確認メール以外、個別のお返事は原則いたしませんのでご了解ください。

    記事タイトル (必須)

    [text* title]

    記事URL (必須)

    [text* url]

    お名前 (必須)

    [text* your-name]

    メールアドレス (必須)

    題名

    [text your-subject]

    メッセージ本文

    このフォームはスパムを低減するために Akismet を使っています。 データの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。

    関連画像

    画像をクリックすると拡大されます

    * 太陽と新月の南中の説明図。季節により南中高度は変化する。
    (国立天文台天文情報センター)
    https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B7EEA4CEBDD0C6FEA4EAA4C8C6EEC3E62FC6EEC3E6B9E2C5D9.html
    * 南中高度の季節変化の解説図。北半球の中緯度(東京付近)では、太陽の南中高度は冬至の頃に最も低く、夏至の頃に最も高くなる。
    地平座標系
    * 地平座標系と子午線
    片山真人「天体位置の表現」、シリーズ現代の天文学第13巻、福島登志夫編『天体の位置と運動』第2版 2章 図2.7 (日本評論社)