超微細構造
よみ方
ちょうびさいこうぞう
英 語
hyperfine structure
説 明
原子や分子が示すスペクトル線の波長は、その原子や分子内の電子が持つエネルギー準位がどのような構造であるかによって変わる。そのうち、次に述べる理由によって生じるエネルギー準位の違いは、他の原因よりもエネルギー差が桁違いに小さい場合が多く、これを超微細構造という。すなわち、超微細構造とは、原子や分子内を運動している電子によって生じる電磁場と原子核のスピンや電気四重極子モーメントの間の相互作用によって、他の量子状態が全て同じであってもエネルギー値が異なる値となっているエネルギー準位の構造をいう。電子のスピンと原子核のスピンの間のスピン-スピン相互作用によるものが含まれる。また、超微細構造に対応したエネルギー準位の違いによって発生する線スペクトルを超微細構造線と呼ぶ。中性水素原子の21cm線は他の量子状態が同じエネルギー準位に対し、陽子のスピンと電子のスピンが平行でエネルギーが高い状態と反平行でエネルギーが低い状態の間で遷移するときに放射される線スペクトルである。また、OHラジカルのエネルギー準位の基底状態は微細構造(微細構造線を参照)として2つの準位に分裂するが(ラムダ2重項)、さらに超微細構造によってそれぞれが2つに分裂して合計4つの準位に分裂する。
2019年06月01日更新
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