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球状星団

高

よみ方

きゅうじょうせいだん

英 語

globular cluster

説 明

数10万個の星がほぼ球状に密集する星団。中心に行くほど急速に星の密度が高くなる。銀河を取り巻くハローの中に分布し、種族Ⅱに典型的な色-等級図を示す(両者の色-等級図の比較については散開星団を参照)。銀河全体の重力に捕らえられており、その周囲を公転運動している。銀河形成の初期段階にできたと考えられているが、最近の観測から、銀河同士の衝突合体などに伴ってもできることがわかった。また、銀河の周囲を公転しているうちに、潮汐によって破壊されることもある。天の川銀河銀河系)では約170個の球状星団が知られている。

アメリカの天文学者シャプレー(H. Shapley)は1918年に、球状星団の分布の研究から、太陽は銀河系(当時は宇宙そのもの)の中心ではなく端にあることや、銀河系の大きさを明らかにした。近年、距離の分かっている銀河系内の球状星団で、ガイア衛星により精密な固有運動の測定が行われたものについては、接線速度が求められ視線速度のデータと合わせて、ハロー内での運動の様子が描かれ始めている。

一つの銀河に属する球状星団の個数や色の分布などは、銀河形成過程の情報を含んでいるため、近年は銀河系外銀河の球状星団の研究も盛んである。また、銀河に属する球状星団の光度関数は、銀河の距離決定の手段としても使える。こと座RR型変光星も参照。

2024年09月10日更新

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    関連画像

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    アングロ-オーストラリア望遠鏡で撮影された球状星団47 Tucの写真
    Credit: Anglo-Australia Observatory
    球状星団 47 Tucの色-等級図。4本の線は上から順に、年齢が100, 120, 140, 160億年の星団の進化モデル。
    Hesser et al. 1987, PASP, 99, 739
    銀河系の球状星団の分布を銀河円盤に垂直な方向(X-Z面とY-Z面)に投影した図。
    https://ned.ipac.caltech.edu/level5/Harris2/Harris1.html
    * シャプレーによる球状星団の分布図。左は銀河円盤を横から見た図で、網掛けの帯は吸収物質が濃く集まっているところ。右は上から見た図で、実線矢印と破線矢印はそれぞれ円盤の上方と下方を示す。図で「宇宙の端」と表記してあるのは、当時は銀河系が「宇宙」と考えられていたからである。、
    (Shapley 1918, ApJ, 48, 154にある図を改変)
    球状星団の接線速度の方向と大きさをベクトルで表した図。色は視線速度を表している。
    Gaia Collaboration, A. Helmi etal.,2018, A&A 616, A12