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フラット補正

高

よみ方

英 語

説 明

通常、天体観測においては、望遠鏡および観測装置の光学系や検出器そのものの特性により、観測装置の検出器上に光検出感度ムラが生じる。これを補正することをフラット補正、もしくはフラットフィールディングという。天体観測とは別に(あるいは同時に)補正用データ(フラットフィールドと呼ぶ)を取得し、これによって天体画像を割り算して感度ムラを補正する。フラットフィールドは、望遠鏡の視野全体にわたって一様に光っていると思われる光源を観測して得る。そのためによく用いられるのは、薄暮や薄明の空(トワイライトスカイ)や、一様光で照らした望遠鏡ドーム内壁もしくはドーム内壁に貼った散乱板(フラット板)である。後者をドームフラットと呼ぶ。
撮像観測においては、対象とする天体が検出器視野に比べて十分小さい場合には、天体画像そのものをフラットフィールドとして用いることもある。この場合、撮像視野を少しずつずらして複数回撮像し(ディザリング)、各画素のカウントの中央値(メジアン)を取ってそれらの画像を合成することで天体像を除いてフラットフィールドを作成する。これをスカイフラット(sky-flat)、もしくはセルフフラット(self-flat)と呼ぶ。可視光の広帯域撮像など、スカイのレベルが高い場合には有効な手法である。
分光観測では、トワイライトスカイやスカイフラットをフラットフィールドとして用いることはできない。地球大気や人工光による輝線によって、波長方向に一様なフラットフィールドを得ることが不可能なためである。分光観測用のフラットフィールドには、ドームフラットがよく用いられる。分光器スリットを一様に照らすような光学系を望遠鏡焦点面近くに設置して、これによってフラットフィールドを得ることもある。

2018年09月04日更新

関連画像

* フラット補正の例。
(a)フラット補正する前のCCD画像。
(b)トワイライトスカイを撮影したフラットフィールド。CCDの感度ムラが明瞭に見える。
(c)(a)を(b)で割り算することによってフラット補正した後の画像。元画像(a)に見られた感度ムラが補正され、スカイが平坦になっているのがわかる。
(吉田道利氏提供)