ヒッグス粒子
よみ方
ひっぐすりゅうし
英 語
Higgs boson
説 明
素粒子に質量を与えるスカラー場(ヒッグス場)とその励起状態であるヒッグス粒子(電荷0、スピン0のボソン)の存在が1960年代半ばに提唱された。自発的対称性の破れにより真空期待値をもつようになったヒッグス場とゲージ粒子の相互作用により質量が生み出されるメカニズムをヒッグス機構と呼ぶ。フェルミ粒子とヒッグス場との相互作用は、湯川結合と呼ばれる別の機構である。ヒッグス粒子の存在が実証され、ヒッグス粒子と素粒子(ゲージ粒子とフェルミ粒子)の結合の強さが、その素粒子の質量に比例すれば、これらのメカニズムが正しいことが示される。
長年探し求められていたヒッグス粒子は、2012年7月に欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突加速器(LHC)によって発見され、これによって現在の素粒子の標準模型の正しさが確認された。ヒッグス粒子は力の統一理論において、弱い力と電磁気力の統一に関わる粒子でもある。湯川機構の正しさも現在検証が行われている。
1964年にヒッグス機構とヒッグス粒子などを理論的に提唱したイギリスのヒッグス(P. Higgs)とベルギーのアングレール(F. Englert)は、2013年にノーベル物理学賞を受賞した。
2023年11月16日更新
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