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活動銀河核統一モデル

 

よみ方

かつどうぎんがかくとういつもでる

英 語

unified theory of active galactic nuclei

説 明

活動銀河核は、スペクトルにみられる許容線の線幅に基づいて2つのタイプに大別される。1つは半値幅が数千km s-1 と広いもので、1型AGNと呼ばれている。もう1つは半値幅が数百km s-1 程度しかないもので、2型AGNと呼ばれる。これらの特徴的な幅の許容線は、広輝線領域狭輝線領域という、別々の領域から出ていると考えられている。なお、1型と2型という分類はもともとはセイファート銀河に対してなされたものだが、電波銀河クェーサーも同じように分類できる。活動銀河核の統一モデルとは、1型と2型AGNの性質を統一的に説明しようとするモデルである。

このモデルでは、降着円盤と広輝線領域を取り巻くようにトーラス状の吸収体があると考え、トーラスの穴の方向に狭輝線領域が形成されているとするトーラスを上から見ると広輝線領域が直接見えるので1型として観測され、横から見ると広輝線領域がトーラスに隠されてしまい狭輝線領域しか見えなくなるので、2型として観測される。このモデルは、線幅の違い以外のAGNの性質も幅広く説明できることがわかっているが、AGN間の電波強度の違いをうまく説明できないなどの問題点も残されている。

2023年04月18日更新

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    *活動銀河核統一モデルの概念図。トーラスの存在のため、観測者の視線方向により見かけ上1型と2型の違いが生じる。
    村山卓「活動銀河中心核の統一モデル」、シリーズ現代の天文学 第4巻、谷口・岡村・祖父江編『銀河I』第2版 4.5節 図4.15(日本評論社)