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エンセラダス

高

よみ方

えんせらだす

英 語

Enceladus

説 明

土星から23万8000 kmのところを周回している直径500 kmの衛星。エンケラドス、エンケラドゥスとも書く。氷に覆われている反射率の高い天体で、質量は1.08x1020 kg、密度は1610 kg m-3 である。エンセラダスの表面は、衝突クレーターの多い古い地域(北半球)と、クレーターが少なく割れ目のある新しい地域(南半球)に分かれる。ボイジャー探査機は、エンセラダスに氷地殻の水平運動による横ずれ断層を発見している。

土星との潮汐作用によりエンセラダス内部が潮汐加熱されて南極域に地下海が存在すると推測されていたが、カッシーニ探査機の観測から、南極付近の割れ目タイガーストライプス(Tiger Stripes)は周囲よりも温かく、地下海の海水が間欠泉プルームとして噴き出されていることがわかった。カッシーニ探査機はそのプルームの中を飛行して噴出物を分析した。プルームはガスと固体粒子からなる。ガスは大部分が水蒸気である。固体粒子には水の氷の他に有機物やケイ酸塩。炭酸塩などが含まれている。また、地球上では温泉などの熱水環境で作られるナノシリカ粒子も含まれていた。エンセラダスの地下海は生命の存在環境の有力候補となっている。また、エンセラダスから放出されたダストは、土星のEリングの源になっている。

 

参考:3Dモデル https://science.nasa.gov/saturn/moons/enceladus/

2025年01月10日更新

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    関連画像

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    地下海とプルーム活動を持つエンセラダスの表面と内部構造のモデル図(NASA)
    https://photojournal.jpl.nasa.gov/jpeg/PIA19058.jpg
    土星の衛星エンセラダスから噴き出す氷とガスのプリューム。2015年にカッシーニ衛星が通過した位置を示すためにイラストが描き込まれている。
    https://www.nasa.gov/image-feature/illustration-of-cassini-spacecraft-diving-through-plume-of-ocean-world-enceladus
    Image Credit: NASA/JPL-Caltech
    土星のEリングとエンセラダス(NASA)
    http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/?IDNumber=PIA08321