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電波バースト(太陽の)

 

よみ方

でんぱばーすと(たいようの)

英 語

solar radio burst

説 明

デシメートル波やメートル波(波長0.1-10 mもしくは周波数30-3000 MHz)の電波で太陽を観測するときに、太陽フレアなどの爆発(バースト)現象に伴って、電波強度が短時間(〜1秒)に上昇する現象。 放射される電波の周波数の時間変化(動スペクトル)に現れる特徴でI型からIV型に分類されている。
I型バーストは、フレアとはあまり関係はなく、活動的な黒点領域上空で発生する電波放射である。個々の放射の周波数中心からの周波数幅は1-5 MHz程度、継続時間は0.1秒から10秒程度であるが、現れる周波数領域は30-200 MHzの範囲に広がり、全体の継続時間が数時間から数日に及ぶことからノイズストームと呼ばれることがある。その発生メカニズムはよくわかっていない。
II型バーストは、フレアに伴って放出されるCME(コロナ質量放出)が生み出した衝撃波がコロナや惑星間空間を伝播する際に5-30分にわたって励起される放射であり、その電波の周波数は衝撃波の位置でのプラズマ周波数およびその2倍か3倍の高調波である。この衝撃波は惑星間空間に向かって約1000 km s-1で伝わり、これに伴って放射される電波の周波数が約1 MHz s-1の変化率で低下する。
III型バーストは、太陽フレアの初期フェーズに現れる高エネルギー電子が磁力線に沿ってコロナ上部へと移動していく際に励起される放射であり、その周波数はII型バーストと同様に擾乱位置のプラズマ周波数およびその2倍か3倍の高調波である。約20 MHz s-1というIII型バーストの周波数変化率から求められる移動速度は、105 km s-1と光速の1/3にも達する。
IV型バーストは、コロナ中の磁場に閉じ込められた高エネルギー電子によるシンクロトロン放射(または磁気制動放射)で、フレアの初期フェーズから1時間程度のあいだ、広い周波数にわたって連続スペクトルをもつ放射として観測される。IV型バーストには電波源が太陽から離れていくものも観測されており、それは高エネルギー電子を閉じ込めたまま惑星間空間へ放出される磁気ループ状のCMEであろうと考えられている。惑星間空間擾乱も参照。

2018年09月16日更新

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    *さまざまな電波バースト。
    増田 智「フレアの多波長観測」、シリーズ現代の天文学第10巻、桜井・小島・小杉・柴田編『太陽』 7.1節 図7.3(日本評論社)
    電波バーストの動スペクトルの例
    http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/jpn/topics/files/2013/05/fig1-20130508.png