日食
よみ方
にっしょく
英 語
solar eclipse
説 明
太陽-月-地球がこの順にほぼ一直線に並び、月が太陽の前を横切るときに太陽を隠す(月の影が地表に落ちる)現象。太陽は月より約400倍大きいが、平均距離も約400倍遠いので、地球から見ると両者はほぼ同じ大きさに見える。特定の時刻における両者の距離は平均距離の周りにわずかに変化する。このわずかな距離の変化によって、月の見かけの大きさが太陽のそれより大きく太陽全面が月に隠される皆既日食と、その逆で、月の周囲に太陽が環状にはみ出して見える金環食(金環日食)が起こる。
皆既日食になるとあたりが急に暗くなり、気温も急に下がる。そして、普段は特殊な方法でしか見ることのできない太陽コロナやプロミネンスなど人々を魅了する太陽の姿が見られる。
地球に落ちる月の影は小さく地表を速い速度で西から東に移動するため、皆既日食が見られるのは狭い帯状の領域(皆既日食帯;幅600-1000 km程度)に限定される。皆既日食帯の中の特定の場所における皆既日食の継続時間は最長でも約7分30秒であり、3-4分以上続くことは珍しい。皆既日食帯の両側では太陽の一部が隠される部分日食が見られる。 地球上の特定の地域で皆既日食や金環食が見られるのは極めて希だが、場所を問わなければ、部分日食も含めると日食は1年に2-4回(ときには5回)起きている。
日食は新月のときにしか起こらないが、新月のときに必ず起きるわけではない。これは地球の公転面(黄道)と地球の周りの月の公転面(白道)が約5度傾いているためで、新月は通常、天球上で太陽の南か北を通過して太陽を隠すことはない。黄道と白道の交点近くで新月となる場合のみ日食が起きる。
太陽が一つの交点を通過して再び同じ交点を通過する周期は約346.62日でありこれを1食年という。一方、1朔望月は約29.5306日であり、223朔望月(6585.32日)が19食年(6585.78日)とほぼ等しくなる。これを反映して、約6585.32日(18年と11日、ただしうるう(閏)年が5回あれば10日)ごとに太陽-月-地球がほとんど同じ位置関係にある日食が起きる(月食についても同じことがいえる)。これはサロス周期と呼ばれて、紀元前600年頃にはすでに知られていた。ただし、サロス周期には年の端数(約11日)と日の端数(約0.32日)があるために、18年前の日食に比べて、日食の見える日にちは約10日遅くなり、位置は約120度西に移動する。
日本の気象衛星「ひまわり8号」が撮影した地球の全面画像を2015年12月21日から2016年12月21日までの1年分をつないで早送りで見せる動画が製作されている。『A Year Along the Geostationary Orbit(静止軌道から見た1年)』と名付けられた約15分のこの動画では、雲と台風の動きや白夜の起きている様子などがよく分かる。2016年3月9日の皆既日食(タイムコード4:48)も記録されている。地球全面画像だけでなく、オーストラリアと日本付近を中心にズームインした詳細な動画も見られる。アヌシー国際アニメーション映画祭2019のVimeo Staff Pick Awardを受賞したドイツのFelix Dierich氏による芸術作品であるが、宇宙から見た地球の1年がよく分かる科学映像としても高い価値がある。
ベイリーの数珠、ダイヤモンドリングも、日食限界も参照。
『A Year Along the Geostationary Orbit(静止軌道から見た1年)』
https://vimeo.com/342333493
2016年3月9日の皆既日食(タイムコード4:48)
エクリプス―日食とは
https://youtu.be/DRSMXKO78C4
2020年10月01日更新
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