赤方偏移空間
よみ方
せきほうへんいくうかん
英 語
redshift space
説 明
銀河の空間分布を調べるためには、2次元的な天球面上での位置に加えて奥行き方向の距離を得る必要がある。しかし、遠方銀河までの距離を直接測ることは難しい。そこで、銀河の赤方偏移により距離を推定して銀河を3次元空間にマッピングすることが一般的である。このような3次元空間を赤方偏移空間と呼ぶ。
実際には、静止した銀河を含む空間が膨張しているわけではない。宇宙の非一様性のために、個々の銀河は特異速度と呼ばれる固有の運動成分を持っている。このため、観測される赤方偏移は宇宙膨張成分と特異速度によるドップラー効果の合わさったものとなる。このため、赤方偏移空間における銀河分布は実空間におけるものと特異速度の分だけ異なってくる。赤方偏移空間における銀河同士の群れ集まり方と、実空間における群れ集まり方は異なる。これを赤方偏移空間変形と呼ぶ。大スケールにおいては、全体として密度が高くなっている方向へ銀河が特異速度を持つため、視線方向への銀河の群れ集まり方が大きくなる。この効果はカイザー効果と呼ばれる。逆に小スケールでは、群れ集まりのスケールを超えて特異速度により赤方偏移が変化するため、視線方向への群れ集まり方が弱くなってしまう。たとえば、銀河団を赤方偏移空間で見ると、視線方向へ引き伸ばされたフィラメント状に見えることになる。これを指に見たててフィンガー・オブ・ゴッド(神の指)と呼ぶ。
2018年03月31日更新
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