トンネル効果
よみ方
とんねるこうか
英 語
quantum tunneling
説 明
ある高さの壁の向こう側にボールを渡すためには、その壁の高さ以上にボールを投げ上げることが必要である。この事実は、ボールはその全エネルギーが壁の高さに対応する位置エネルギーよりも大きい領域内でのみ運動可能である、と言い換えることができる。これは古典力学においてはまったく自明であるが、微視的なスケールを記述する量子力学では必ずしも成り立たない。ある確率で、粒子は古典的には乗り越えることができないはずのポテンシャルの壁をすり抜けて、反対側の領域に侵入することができる。これをトンネル効果と呼び、量子力学が古典力学と異なる端的な例である。現在の電子技術の多くはこのトンネル効果と深く関わっている。また、恒星内部の核融合反応はこのトンネル効果によって反応率が格段に上昇している。宇宙の誕生においてもこのトンネル効果が本質的な役割をしたとする考えも提案されている。
2018年03月06日更新
この用語の改善に向けてご意見をお寄せください。
受信確認メール以外、個別のお返事は原則いたしませんのでご了解ください。