乾板測定機
よみ方
かんぱんそくていき
英 語
plate-measuring machine
説 明
天体写真測光において、写真から天文学に必要な定量的な情報を引き出すために使われたさまざまな測定機の総称。研究用の天体写真はガラスを用いた写真乾板で撮影されたのでこのように呼ばれる。
コンパレータ(comparator)は最も古くから使われた単純な測定機で、撮像写真では星や天体の位置、分光写真ではスペクトル線の位置(波長)の精密測定に用いられた。初期のものは写真乾板をのせる載物台と照明装置、精密目盛尺、顕微鏡からなっていたが、後には現在「投影機」と呼ばれている(顕微鏡のない)拡大投影光学系を持つものに変わっていった。
他には、変光星や移動天体の探査に用いられたブリンクコンパレータ(blink comparator)、星の明るさ(等級)の測定に用いられたアイリスフォトメータ(iris diaphragm photometer)、銀河やガス星雲のように広がった天体の等輝度線/等濃度線を描けるアイソフォトメータ/アイソデンシトメータなどが使われた。
天体写真測光で最も基本的な測定機は、写真乾板の微小な面積の写真濃度を測定する測微濃度計(マイクロデンシトメータ)である。載物台を動かすことで、乾板内の一定の面積の濃度分布を記録することができる。1980年代になると、光源や駆動装置を改良して乾板を高速スキャンし、濃度データをデジタル化して、大型コンピュータによる画像処理から天体の情報を引き出す「写真乾板のデジタル処理」が天体写真測光の主流となった。しかし、1980年代の中頃から、可視光の天体観測の検出器は写真からCCDに代わり、2000年頃までに乾板測定機が活躍する時代は終わりを告げた。
2022年01月24日更新
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