古在機構
よみ方
こざいきこう
英 語
Kozai mechanism
説 明
中心天体の周りを公転する小天体が他の天体から摂動を受けるとき、小天体の軌道傾斜角が大きい場合に見られる現象。古在由秀が1962年に初めて明らかにしたのでこの名がある。
古在は、太陽の周りの円軌道上を公転する木星と、木星より内側の軌道にあって太陽の周りを公転する小惑星の三体問題を考え、木星からの摂動による小惑星の軌道要素変化を調べた。その結果、木星軌道面に対する小惑星軌道傾斜角がある値(39.2°)より大きいとき、小惑星軌道の近点引数(小惑星軌道面上で昇交点から近点までの角度)が $\pi/2$ あるいは $3\pi/2$ の周りを振動する場合があることを発見した。このことを古在機構と呼ぶ。古在機構は「古在共鳴」と呼ばれることもあるが、外力の振動数と系の固有振動数が近いときに振幅が大きくなるという、通常の意味での共鳴現象ではない。上述の近点引数の振動の際に小天体の軌道離心率 $e$ は 0近くから1近くまで大きく変化する場合があるが、小天体の軌道傾斜角を $I$ とするとき $\sqrt{1-e^2}\cos I$ は保存される。この結果、離心率が小さく軌道傾斜角が非常に大きい状態と、軌道傾斜角は小さいが離心率が非常に大きい状態の間を振動することになる。 古在機構は小惑星だけでなく、惑星や彗星の運動、惑星の周りを公転する不規則衛星の軌道、さらには太陽系外惑星の軌道進化においても重要となる。
フォンツァイペル-リドフ-古在振動も参照。
2024年08月08日更新
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