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階層的集団化モデル

 

よみ方

かいそうてきしゅうだんかもでる

英 語

hierarchical clustering model

説 明

軽い銀河が最初に生まれ、それらが集合合体を繰り返して重い銀河や銀河の集団ができたとするモデル。われわれの宇宙のように冷たいダークマターが物質の大部分を占める宇宙では、銀河は必然的にこのように進化する。このモデルにおいて本質的な役割を果たすのはダークマターの重力束縛系であるダークマターハローである。ビッグバン直後に生じた原始の密度ゆらぎから軽いダークマターハローがまず生まれ、それらが集合や合体を繰り返して次第に重いダークマターハローになる。銀河はダークマターハローの中で星生成が起こることで誕生し進化すると考えられる。原始の密度ゆらぎの存在は、1992年に宇宙マイクロ波背景放射温度ゆらぎが見つかったことにより確実なものとなった。階層的集団化モデルは、銀河から宇宙の大規模構造まで、宇宙に見られるあらゆる階層の構造の進化を整合性をもって説明できる。銀河進化モデルも参照。

 

2018年08月17日更新

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    銀河ハローが合体を繰り返しながら成長してゆく様子を表した模式図。図の上方から下方に向かって時間が進む。幹の太さはハローの質量の大きさに対応する。(C.Lacey & S.Cole, 1993, MNRAS 262, 627より引用)