ジオイド
よみ方
じおいど
英 語
geoid
説 明
無数に存在する地球の重力ポテンシャルが等しい面のうち、平均海面に最も一致する面をジオイドという。等ポテンシャル面であるため、この面上で水の流れは生じず、この面は常に重力加速度の方向と直交する。1828年にガウス(C. F. Gauss)は地球形状の数学的表現としてこの面について言及しているが、1872年にこれを最初にジオイドと呼んだのはリスティング(J. B. Listing)である。
ジオイドは、地球を単純な回転楕円体で近似した地球準拠楕円体とは一致せず、地球内部の不均質な質量分布を反映した起伏を持つ。この地球準拠楕円体対する起伏(ジオイド高)の大きさはおよそ-100 mから80 mである。ジオイドは標高の基準を与えるという意味で標高体系の構築に欠かせない。幾何学的に決めた地球準拠楕円体には地球の重力の影響が考慮されていないため、これを標高の基準として用いると水が標高の低いところから高いところに流れるという直感と反する事態が起こりうる。標高体系の定義は各国で異なっており、日本の場合、全球平均海面ではなく東京湾の平均海面を地域的なジオイドと定め、標高0 mの基準としている。
地球上の重力の分布が分かれば、それを全球積分することにより、ジオイド高を計算することができる。近年、GRACEやGOCEという重力観測に特化した人工衛星が取得した全球的なデータを利用して、約100 kmの空間分解能と数cmの精度を持つジオイドモデルが開発されている。日本では、既存の衛星重力データ、地上・海上重力データに加え、新たに航空機による重力観測データを取り入れ、日本周辺で空間分解能と精度を向上させたジオイドモデルの開発が国土地理院によって進められている。
2024年05月08日更新
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