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平坦性問題

 

よみ方

へいたんせいもんだい

英 語

flatness problem

説 明

宇宙のスケール因子の発展方程式に対する空間曲率項の寄与は、スケール因子の2乗に反比例して減少する。一方、エネルギー密度の寄与は放射優勢期はスケール因子の4乗、物質優勢期は3乗で減少する。宇宙創生後現在までに130億年以上膨張を続けてきたにもかかわらず、曲率項の寄与はエネルギー密度の寄与よりも小さい。これは宇宙が生まれた際に曲率項がエネルギー密度の寄与に比べて数十桁も小さく、宇宙空間がはじめから実質的に平坦でなければ実現できない。これは物理的には極めて不自然なことである。これがビッグバン宇宙論における平坦性問題である。これは別の言い方をすると、ビッグバンからプランク時間が経過した後、時空が古典的になった時点において、宇宙の曲率半径が当時の地平線よりも30桁も大きくなければならなかった、ということなのである。

2018年04月20日更新

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