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ハレー彗星

小

よみ方

はれーすいせい

英 語

Comet Halley

説 明

公転周期75.3年で太陽を長楕円逆行軌道で周回する周期彗星。彗星の軌道を求めて回帰を予想したハレー(E. Halley)にちなみ、ハレー彗星もしくはハリー彗星と呼ぶ。正確には1P/Halleyと書く。1986年の回帰時に、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のジオット彗星探査機、旧ソ連のベガ、日本の「すいせい」、「さきがけ」などの探査機が観測を行い、ジオット彗星探査機が初めて彗星核の撮像に成功した。それに先立ち、日本のすいせい探査機は、コマの明るさの変化からハレー彗星核の自転周期を求めている(2.2日)。

ダスト質量分析機による測定から、コマのダストには分子量100を超すさまざまな有機分子が存在することがわかり、構成元素からCHONと呼んでいる。これらの有機物は、星間ダストの表面で紫外線宇宙線が介在して生成されたと考えられている。ハレー彗星の氷成分には、H2Oのほか、CO, CH4, NH3, HCNなどが含まれている。なお、次回の回帰は2061年である。

2023年05月08日更新

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    1986年3月8日未明に東京大学木曽観測所の105 cmシュミット望遠鏡で観測されたハレー彗星。「木曽シュミットアトラス」(丸善)の画像(K4997)より作成(岡村定矩)。
    (NASA)http://nssdc.gsfc.nasa.gov/photo_gallery/photogallery-comets.html http://nssdc.gsfc.nasa.gov/image/planetary/comet/lspn_comet_halley1.jpg
    ジオット探査機の撮像したハレー彗星の核(ESA)