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IXPE衛星

 

よみ方

あいえっくすぴーいーえいせい

英 語

IXPE satellite

説 明

(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)
NASAとイタリア宇宙機関の協力により、2021年12月9日にケネディ宇宙センターからスペースX社のファルコン9ロケットで打ち上げられたX線 偏光観測衛星。重量337 ㎏の小型衛星で、軌道傾斜角0.2 度、高度540 kmの低地球軌道に投入された。
同一設計の3台のX線偏光望遠鏡を搭載しており、それぞれ直径30 cm・焦点距離4 mのX線反射鏡と、2-8 keVのX線の偏光をとらえるガスピクセル検出器の組で構成されている。視野は12.9分角、角度分解能は25秒角、有効面積は2.4 keVで166 cm2である。エネルギー分解能は2.7 keVで22%、6.4 keVで16%であり、偏光に対する感度を示す変調因子(modulation factor)は2.6 keVで0.29、4 keVで0.43、6.4 keVで0.55である。(X線望遠鏡も参照。)
2022年2月に超新星残骸カシオペアAの偏光度の画像を発表し、広い範囲で1.8%±0.3%の偏光度があり、これを高エネルギー電子が磁場中で放出するシンクロトロン放射として、磁場が放射方向を向いていることを示した。

ホームページ:https://ixpe.msfc.nasa.gov/about/index.html

2024年05月28日更新

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    関連画像

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    IXPE衛星の想像図。
    https://ixpe.msfc.nasa.gov/index.html より。
    カシオペヤAの合成画像。青色、青緑色、金色は、それぞれ、チャンドラ衛星(X線)、IXPE衛星(X線)、ハッブル宇宙望遠鏡(可視光)による画像。
    出典 https://www.nasa.gov/missions/chandra/nasas-ixpe-helps-unlock-the-secrets-of-famous-exploded-star/
    Credits: X-ray: Chandra: NASA/CXC/SAO, IXPE: NASA/MSFC/J. Vink et al.; Optical: NASA/STScI
    上の画像にIXPE衛星が測定した磁場の方向(線分の向きで示す)を重ねた図。緑色の線分は測定精度が高い。周縁部では磁場が同型方向に向く傾向がある。
    出典 https://www.nasa.gov/missions/chandra/nasas-ixpe-helps-unlock-the-secrets-of-famous-exploded-star/
    Credits: X-ray: Chandra: NASA/CXC/SAO; IXPE: NASA/MSFC/J. Vink et al.