流星
よみ方
りゅうせい
英 語
meteor
説 明
宇宙空間にある小さな固体の天体が地球の大気に飛び込んできて光を放つ現象。一般には「流れ星」として親しまれている。
国際天文学連合(IAU)の定義と解説に基づくと、流星とは、「宇宙から来る固体の天体がガス状の大気に高速で突入するときに発生する光及びそれに伴う物理現象(熱、電離、衝撃)」のことである。流星は十分高い密度の大気を持つならどんな惑星や衛星でも起きる。惑星大気中における速度、質量、平均自由行程の組み合わせが適切な状態になれば、流星物質、小惑星、彗星などの固体からなる天体はどれでも流星となる。実際に流星現象は、地球のほか、火星や木星の大気中でも観測されている。その有名な例が1994年のシューメーカー-レビー第9彗星の木星衝突である。木星では最近は数年に一度程度、流星現象が地上観測から確認されている。月面でも微小天体の衝突に伴う発光現象が観測されているが、大気のない天体で起きる発光は流星ではなく、衝突閃光(impact flash)と呼ばれる。
以下では地球大気中で見られる流星に限って解説する。地球で夜空に見られる流星は、地球大気中の物理現象で、約30マイクロメートルから1メートル程度の大きさの惑星間物質が地球大気に高速(数10-70 km s-1で突入したときに、衝撃波加熱により塵物質が蒸発したプラズマの発光(と大気中の原子・分子の発光)によるものである。流星となる惑星間物質を、流星物質(流星体ともいう)と呼ぶ。一般には流星の発光する高度は約120 kmから80 kmである。大きな流星物質の突入時などでは通常の流星よりもはるかに明るいものが観測されることがあり、マイナス4等級程度より明るいものは火球と呼ばれる。火球に伴って地上に隕石が落下する事がある。流星が流れた後に残るものが流星痕である。流星痕は淡く発光していることもある。流星痕は数秒から10分以上続くことがあるが、やがて上層大気の運動によりかき乱されて消滅する。蒸発した塵物質中の金属原子は、温度が下がるにつれて集まって丸く再凝結しながら冷えて、主に直径0.1ミリメートル以下の固体の球粒となり、次第に大気中を降下し地上に達する。これを流星塵という。
流星のスペクトルは基本的にはさまざまな輝線の集合である。流星物質に含まれるカルシウムやマグネシウム、ナトリウム、鉄などの輝線と、主に大気中の窒素や酸素などの輝線が目立つ。肉眼で流星を見たときに感じる色はこれらの輝線の組み合わせによるものである。ただし、もともとの流星物質の個体差のみならず、対地速度・突入角度の違いや、発光高度の差等によっても輝線の種類や強度比は大きく異なるので流星の色はさまざまに違って見える(流星痕も参照)。
国際天文学連合による流星天文学の用語の定義と解説:
https://www.iau.org/public/themes/meteors_and_meteorites/
https://www.iau.org/static/science/scientific_bodies/commissions/f1/meteordefinitions_approved.pdf
しし座流星群を対象としたNASAによるLeonid MAC(Leonid Multi-Instrument Aircraft Campaign )のサイト
https://leonid.arc.nasa.gov/index.html
2021年08月19日更新
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