測微濃度計
よみ方
そくびのうどけい
英 語
microdensitometer
説 明
天体写真乾板の微小領域の写真濃度を測定する装置。マイクロデンシトメータあるいはマイクロフォトメータとも呼ぶ。写真乾板に光を当て、透過してくる光の量を光電子増倍管などで測定することによって写真濃度を測る。光源に安定化光源を用い、スリットを用いて写真乾板上の微小領域のみを透過する光を測定することによって、測定精度と分解能を上げる。天体写真測光の中核となる乾板測定機であった。
1960年頃にPhotometric Data Systems社(当時)が開発したPDSマイクロデンシトメータは、コンピュータ制御によって、乾板をスキャンしながら透過光量を自動的に記録するシステムのはしりで、広く写真乾板を用いた天体画像やスペクトルの解析に用いられた。その後これと高度な制御システムを組み合わせて高速化したもの、光源としてレーザーを使って精度を高め、かつ写真乾板は動かさずに測定光のビームを動かしてスキャン速度を高速化した装置も開発された。それらは乾板スキャナー(プレートスキャナー)とも呼ばれた。
1970-90年代前半は、主にシュミット望遠鏡によるサーベイ観測で撮影された広視野写真乾板を乾板スキャナーでデジタル化したデータに基づく「写真乾板のデジタルサーベイ」プロジェクトの全盛期で、乾板スキャナーとデータ処理計算機を合わせたシステムが各地で活躍した。宇宙望遠鏡研究所(STScI)のPDSマイクロデンシトメータに基づくシステムは、DSS(Digitized Sky Survey)のデータ生成とハッブル宇宙望遠鏡のガイド星カタログ(Guide Star Catalog: GSC)の構築に重要な役割を果たした。エジンバラ王立天文台(ROE)のCOSMOS(1994以降はsuperCOSMOS)、ケンブリッジ大学のAPM(Automated Plate Measuring Machine)、ミネソタ大学のMAPS (Minnesota Automated Plate Scanner)などが活躍した。日本では、東京大学木曽観測所で、PDS2020GMSを用いて近傍の明るい銀河791個の測光カタログが作られた。これらの装置は現在新たな写真乾板のデジタル化は行っていないが、データそのものはアーカイブとして活用されている。
STScIのDSSとGSC
https://archive.stsci.edu/missions-and-data/dss--gsc
superCOSMOS
http://www.roe.ac.uk/ifa/wfau/cosmos/scosmos.html
APM(Automated Plate Measuring Machine)
https://www.ast.cam.ac.uk/~mike/casu/apm/apm.html
MAPS (Minnesota Automated Plate Scanner)
http://aps.umn.edu/about/
2022年01月24日更新
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