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ウィーンの近似式

高

よみ方

うぃーんのきんじしき

英 語

Wien's approximation

説 明

黒体放射のエネルギー分布のうち、強度のピークよりも高周波数側を表す近似式のこと。この近似の語源となっている研究者名の原語(ドイツ語)発音を重視してヴィーンの近似式と表記する場合もある。
温度$T$の黒体放射の単位周波数当たりのエネルギー分布はプランク分布として、

$$B_\nu(T)=\frac{2h\nu^3}{c^2}\frac{1}{\exp\left(\frac{h\nu}{k_\mathrm{B}T}\right)-1}$$

で表されるが、これを、 $h\nu \gg k_{\rm B}T$ として

$$\frac{2h\nu^3}{c^2}\exp\left(-\frac{h\nu}{k_\mathrm{B}T}\right)$$

と近似したのがウィーンの近似式である。ここで、 $h$プランク定数$k_{\rm B}$ボルツマン定数$c$ は真空中の光速度である。また、黒体放射の単位波長あたりの放射強度

$$B_\lambda(T)=\frac{2hc^2}{\lambda^5}\frac{1}{\exp\left(\frac{hc}{\lambda k_{\mathrm{B}}T}\right)-1}$$

となるが、これを $hc \gg \lambda k_{\rm B}T$で近似した

$$B_\lambda(T)=\frac{2hc^2}{\lambda^5}\exp\left(-\frac{hc}{k_{\rm B}\lambda T}\right)$$

もウィーンの近似式と呼ばれる。レイリー-ジーンズの近似式も参照。

2023年04月18日更新

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