天文学辞典リビジョン記録2020/04/06まで | 天文、宇宙、天体に関する用語を3000語以上収録。専門家がわかりやすく解説します。

ベラ・ルービン天文台

 

よみ方

英 語

説 明

チリのセロ・パチョンに建設中の大型シノプティック・サーベイ望遠鏡 (Large Synoptic Survey Telescope: LSST) を運用する天文台。渦巻銀河平坦な回転曲線の観測からダークマターが存在することを実証した女性天文学者ベラ・ルービン(Vera C. Rubin)にちなんで2020年に命名された。ルービン天文台と呼ばれることもある。同時にLSSTには初期に多額の寄付をしたチャールズ・シモニーに因んでSimonyi Survey Telescopeの名称が付けられた。
LSSTは口径8.4 m(有効口径は6.7 m)の広視野光学赤外線望遠鏡で、9.6平方度(満月40個分)という超広視野を 3.2 ギガピクセル(32億画素)のカメラでカバーする。このカメラは紫外線から近赤外線まで(波長320-1050 nm)をカバーするugrizyの6枚のフィルターを有し、イメージスケールは0.2"/pixelである。天文台から見える全天の複数バンドのサーベイを数夜で完了する。このサーベイを繰り返して10年間継続する。一夜の観測で得られるデータは15 TB(テラバイト)、1年では約7 PB(ペタバイト)に達する。紛らわしいが、この10年間のサーベイは「ルービン天文台による時空間レガシーサーベイ(Rubin Observatory Legacy Survey of Space and Time: LSST)」と呼ばれる。
LSST計画は2001年の decadal survey で取り上げられ、さまざまな予算で開発が進められてきた。2010年のdecadal survey で地上望遠鏡としては優先順位第1位となり、2014年に全米科学財団(NSF)から完成に必要な予算が措置された。NSFの予算とLSSTコーポレーションが得た個人や財団からの寄付を基に、全米天文学大学連合(AURA)がLSSTの建設を統括している。観測サイトと望遠鏡の製作はアメリカ国立光学天文台(NOAO)が、データセンターの構築は米国立スーパーコンピュータ応用研究所が行っている。カメラは別途米国エネルギー省の予算で、SLAC国立加速器研究所が製作している。2020年にファーストライト、2023年から本格的なサーベイ観測を開始する予定である。
LSSTによるデータは天文学のあらゆるテーマに画期的なインパクトを与えると考えられているが、主要なテーマとしてホームページに書かれているのは以下のものである。
ダークマターの性質(The Nature of Dark Matter)
太陽系天体のカタログ化(Cataloging the Solar System)
変動する空の探査(Exploring the Changing Sky)
天の川銀河(銀河系)の構造と誕生(Milky Way Structure & Formation)
ホームページ:https://www.lsst.org/

2020年02月14日更新

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