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木星

小

よみ方

もくせい

英 語

Jupiter

説 明

木星は太陽系内で最大の惑星であり、土星天王星海王星とともに、巨大ガス惑星の一つである。軌道長半径は5.2 au、質量は地球質量の318倍、太陽質量の約1000分の1、自転周期は約10時間、平均密度は約1330 kg m-3である。外層は水素とヘリウムを主成分とするガスであり、その下には金属水素層、そして中心には岩石と氷などからなるコアがあると考えられている。コアの質量は地球質量の数倍から十数倍と考えられている。しかし木星中心のような高温高圧での物質の状態方程式が明らかでなく、コアの大きさ、組成については不確定性が大きい。
木星のような巨大ガス惑星は、十分大きくなった氷からなる原始惑星が、周りの原始太陽系円盤ガスを捕獲して形成される(太陽系形成論を参照)。
木星を覆う雲は東西方向に帯状の構造を作っており、その中に楕円形の渦構造が存在する。渦構造の中で最大のものは大赤斑と呼ばれ、数百年以上にわたって存在していると考えられている。木星は惑星の中で最強の磁場を持っており、それに伴うオーロラも観測されている。
木星には2022年8月末時点で80個の衛星が確認されている(国際天文学連合IAUによって登録番号がつけられているのは72個)。その中で、最大の順行衛星であるイオエウロパガニメデカリストは発見者にちなんでガリレオ衛星と呼ばれている。ガリレオ衛星は、木星形成の最終段階において、木星の周りにガスとともに流入してきた固体物質が衝突合体を繰り返して形成されたと考えられている。一方、衛星の中には軌道長半径や離心率、軌道傾斜角が大きく逆行方向に公転するものもある。これらは不規則衛星と呼ばれ、木星系外から捕獲されたものと考えられている。
木星の環はボイジャー探査機1号によって発見され、その後のガリレオ探査機によって詳しく観測された。細く最も明るい主要リングの内側にはハローと呼ばれる、鉛直方向にも広がった環があり、主要リングの外側には希薄なリングが広がっている。これらは μmサイズのダストからなっており、これらの環の近傍にある小衛星に隕石が衝突してまき散らされたダストが環を形成したと考えられている。
木星は質量が非常に大きいため、太陽系のほかの天体の形成進化過程に大きな影響を及ぼしたと考えられる。


Timelapse of Jupiter’s auroras

2023年06月19日更新

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    関連画像

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    ボイジャー1号による画像(NASA)
    https://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA01509
    ボイジャー1号による画像。衛星のイオ(左)とエウロパ(右)が見えている(NASA)
    https://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA00144
    ジュノーによる画像(NASA)
    https://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA22421
    ジュノーによる大赤斑の画像(NASA)
    https://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA21985