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慣性質量

高

よみ方

かんせいしつりょう

英 語

inertial mass

説 明

ニュートン(I. Newton)による運動の第2法則で定義される質量。この法則は、質点の運動量 $m\boldsymbol{v}$ の時間変化はそれにかかる力 $\boldsymbol{F}$ に比例するというものである。運動方程式と呼ばれる式の形で書けば、

$$ \frac{d}{dt}(m\boldsymbol{v})=\boldsymbol{F} $$

となる。ここで物体固有の量である $m$ が変化しないとすれば、運動方程式は

$$ m\frac{d\boldsymbol{v}}{dt}=\boldsymbol{F} $$

と書ける。$d\boldsymbol{v}/dt$ は加速度 $\boldsymbol{a}$ であるから、運動方程式は

$$ m\boldsymbol{a}=\boldsymbol{F} $$

となる。つまり加速度は力に比例して、その比例係数が $m$ ということになる。この $m$ のことを慣性質量と呼ぶ。慣性質量は単に質量と呼ばれることが多いが、万有引力の法則にでてくる質量(重力質量)とは原理的には異なった量であるので、そのことを強調するときには慣性質量と呼ぶ。これらの2つの質量が等しいということを主張するものが等価原理であり、エトバス(L. Eötvös)らが実験により高精度で成り立つことを示した。

2023年04月18日更新

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