天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3000語以上収録。専門家がわかりやすく解説します。

New

国際天文学連合

高

よみ方

こくさいてんもんがくれんごう

英 語

International Astronomical Union(IAU)

説 明

国際協力を通じてあらゆる側面から天文学の発展を図ることを目的として、1919年に設立された非政府の世界組織。国際科学会議(ISC、2017年以前はICSU)に属する40の国際学術団体の一つである。天文学者を代表する国の機関が加盟するナショナルメンバーと、個人として加入する個人メンバーから構成される。2018年にジュニアメンバーの制度が作られた。日本は設立の翌年、1920年にナショナルメンバーとして加盟した。2019年時点で、ナショナルメンバーは82か国(地域を含む)、個人会員は13556名(うちジュニアメンバー348名)である。このうち日本人の会員は767名で、アメリカ、フランスに次いで第3位である(以下イギリス、中国、ドイツと続く)。IAUの研究活動は、研究分野ごとに設置された9つの部会(Division)と、その下にある、より専門化された35のテーマ別委員会(Commission)および50あまりの作業部会(Working Group)で行われる。総会は3年に1度、世界各国を回って開かれる。日本では1997年に京都で開催された。2006年にプラハで開催された総会では、惑星の定義が採択され、冥王星を惑星ではなく準惑星という新しい天体種族に分類したことが話題となった(その後、冥王星型天体という新しい種族名が決められた)。日本での対応については以下の日本学術会議の「対外報告」を参照のこと。
2009年にユネスコと行った「世界天文年(International Year of Astronomy)」の活動が成功したことを受けて、それ以降教育普及関連の活動を活発に行っている。2009年のリオデジャネイロで開催された総会で、2010-2020年の10年戦略計画「発展途上国のための天文学」(2012年の北京総会で「発展のための天文学」に改名)が採択され、それを受けて2011年にはケープタウンの南アフリカ天文台に「社会発展のための天文学推進室(OAD: Office of Astronomy for Development)」が開設された。さらに続いて、2012年には日本の三鷹の国立天文台に「国際普及室(OAO: Office for Astronomy Outreach)」が、2015年にはオスロのノルウェー科学アカデミーに「若手支援室( OYA: Office for Young Astronomers)」が設置された。2018年にウィーンで開催された総会で、「発展のための天文学」を引き継ぎ更に発展させる ‘Strategic Plan 2020-2030’(2020-2030年の戦略計画)が採択され、2019年11月に「天文教育支援室(OAE: Office of Astronomy for Education)」が、ドイツのハイデルベルグにある「天文の家(Haus der Astronomie)」に設置された。学校教育における天文学の利用は「2020-2030年の戦略計画」の目標の一つである。
このようなIAUの活動に資するため、市民に知っておいて欲しい天文学の基本概念をまとめた ‘Big Ideas in Astronomy-A Proposed Definition of Astronomy Literacy’ や天文学を行う上で開発された技術が多くの分野に応用され市民生活にも役立てられていることを解説した ‘From Medicine to Wi-Fi; Technical Applications of Astronomy to Society’ などの資料が出版されている。またウィーン総会では、宇宙膨張に関する「ハッブルの法則」を今後は「ハッブル-ルメートルの法則」と呼ぶことを推奨する決議が提案され、2018年10月に会員の投票で採択された。日本での対応については以下の日本学術会議の「提言」を参照のこと。
IAUはまた、スミソニアン天文台(ハーバード大学天文台も参照)が運営する天文電報中央局の、新天体に関する天文電報(IAU Circular)の発行も支援している。
ホームページ:http://www.iau.org/

惑星の定義に関連する日本学術会議の「対外報告」(2007年)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t35-1.pdf
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t39-3.pdf
ハッブル-ルメートルの法則に関する決議についての日本学術会議の「提言」(2018年):
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t273-1.pdf
Strategic Plan 2020-2030
https://www.iau.org/administration/about/strategic_plan/ (英文原版:日本語版)
日本語版は、日本天文教育普及研究会のホームページからもダウンロードできる
https://tenkyo.net/activity/iau-publications/iau_strategic_2019_jp/ (日本語版)
Big Ideas in Astronomy-A Proposed Definition of Astronomy Literacy(英語版)
https://www.iau.org/news/announcements/detail/ann19029/
ビッグアイデア-天文学の主要概念-天文学リテラシーの提案(日本語版)
https://tenkyo.net/activity/iau-publications/big_ideas2020/
From Medicine to Wi-Fi; Technical Applications of Astronomy to Society(英語版)
https://www.iau.org/public/images/detail/ann19022a/
天文学の技術と私たちの生活 医療からWi-Fiまで(日本語版)
https://tenkyo.net/activity/iau-publications/from_medicine_to_wi-fi/

2022年12月06日更新

問い合わせ
問い合わせ

この用語の改善に向けてご意見をお寄せください。

受信確認メール以外、個別のお返事は原則いたしませんのでご了解ください。

    記事タイトル (必須)

    [text* title]

    記事URL (必須)

    [text* url]

    お名前 (必須)

    [text* your-name]

    メールアドレス (必須)

    題名

    [text your-subject]

    メッセージ本文

    このフォームはスパムを低減するために Akismet を使っています。 データの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。

    関連画像

    画像をクリックすると拡大されます

    2006年のIAUプラハ総会における「惑星の定義」の議決風景
    (クレジット:IAU)
    * IAU Officesとその所在地
    IAU戦略計画2020-2030
    * IAU戦略計画2020-2030冊子(日本語版及び英語版)
    PDF版は、https://www.iau.org/administration/about/strategic_plan/からダウンロード可能。
    日本語版は、https://tenkyo.net/activity/iau-publications/iau_strategic_2019_jp/ にもある。
    * ビッグアイデア-天文学の主要概念- 天文学リテラシーの提案 (日本語版)
    https://tenkyo.net/activity/iau-publications/big_ideas2020/

    * 天文学の技術と私たちの生活 医療からWi-Fiまで
    https://tenkyo.net/activity/iau-publications/from_medicine_to_wi-fi/