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環境効果(銀河の)

 

よみ方

かんきょうこうか(ぎんがの)

英 語

environmental effect(on galaxies)

説 明

銀河の進化に環境が及ぼす影響。銀河団からボイド領域まで、銀河を取り巻く環境は多様である。形態-密度関係に代表されるように、現在の銀河の性質は環境に強く依存することが知られているが、そうした依存性は、先天的な環境効果と後天的な環境効果が組み合わさった結果であると考えられている。先天的な環境効果とは、銀河の性質は誕生した時点から環境によって決まっていたというものである。たとえば、銀河団のような銀河密度の高い場所ではそもそも早期型銀河しか生まれなかったとする考え方がある。後天的な環境効果とは、進化の過程で環境から影響を受けて形態などが変化するというものである。たとえば、渦巻銀河が銀河団に落ち込むとガスが動圧ではぎ取られてレンズ状銀河になる可能性がある。動圧以外の後天的環境効果としては、銀河同士の相互作用、銀河団の重力による潮汐力など、さまざなま機構が挙げられている。なお、環境自身も時間とともに変わるので、それに応じて後天的環境効果の内容も変わる。銀河の性質の決定において先天的環境効果と後天的環境効果のどちらがより重要な役割を果たしたのかは、よくわかっていない。さまざまな環境における銀河を過去にさかのぼって調べることが必要である。

2018年03月15日更新

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